ゲームビジネスの収益モデルは? 任天堂とソニーは重要な“場所”を押さえているビジネスモデルが分かる(5/5 ページ)

» 2024年03月19日 08時00分 公開
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この一冊で全部わかる ビジネスモデル』(根来龍之、富樫佳織、足代訓史/SBクリエイティブ)

基盤型プラットフォームの落とし穴

 基盤型プラットフォームは、補完製品と一緒になってユーザーに利用されることで意味を持ちます。そのため、上述した通り、補完製品に提供するインセンティブやプラットフォームへの参加のためのインターフェースの設計を誤ると、基盤型プラットフォームから補完製品が離れていくことがあります。

 また、基盤型プラットフォーム自体も、製品全体の機能に対する技術力や、先述したゲーム機のオンライン対戦のように関連プレイヤー同士を媒介させる機能を高めてプラットフォームとしての価値を向上させないと、補完製品を他の基盤型プラットフォームに奪われるリスクがあります。

適用のための問いかけ

  • 自社のビジネスは、補完製品を必要とするビジネスか
  • 補完製品に対して、どのようなコントロール力を発揮できるか
  • 補完製品を巻き込むインセンティブ設計やインターフェース設計が可能か
  • 技術力やプレイヤー同士の媒介機能などで他のプラットフォームと差別化できるか

参考文献

根来龍之『プラットフォームの教科書:超速成長ネットワーク効果の基本と応用』(日経 BP、2017年)

根来龍之・浜屋敏(編著)、早稲田大学ビジネススクール根来研究室『IoT 時代の競争分析フレームワーク』(中央経済社、2016年 )


この記事は、『この一冊で全部わかる ビジネスモデル』(根来龍之、富樫佳織、足代訓史/SBクリエイティブ)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


プロフィール:

根来龍之(ねごろ・たつゆき)

早稲田大学ビジネススクール教授

京都大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。鉄鋼メーカー、文教大学などを経て2001年から現職。早稲田大学IT戦略研究所所長。早稲田大学大学院経営管理研究科長、経営情報学会会長、米カリフォルニア大学客員研究員などを歴任。著書に『集中講義 デジタル戦略』『プラットフォームの教科書』『ビジネス思考実験』『事業創造のロジック』(いずれも日経BP)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)、『IoT時代の競争分析フレームワーク』(編著、中央経済社)などがある。ネット系企業の顧問や既存企業のデジタル対応などの企業研修で実務と関わるとともに経営情報学会論文賞を3回受賞するなど理論構築も行う。

富樫佳織(とがし・かおり)

愛知淑徳大学准教授

学習院大学法学部卒業。早稲田大学商学研究科修了(MBA)。NHK(日本放送協会)ディレクター、放送作家、WOWOWでのプロデューサーを経て2017年から現職。

放送番組の受賞歴に、高柳財団第41回科学放送高柳賞企画賞、第2回衛星放送協会オリジナル番組アワード中継番組部門最優秀番組、WOWOWで放送された『Blueman Group Connect to Japan』で第40回国際エミー賞アート番組部門ファイナリストなど。著書に『やわらかロジカルな話し方』。ビジネスモデル、マーケティング戦略、メディア企業のデジタル戦略を研究分野としている。プラットフォーム企業のアドバイザー等も務める。

足代訓史(あじろ・さとし)

拓殖大学商学部准教授

早稲田大学商学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得満期退学。株式会社日本総合研究所研究員、早稲田大学商学学術院助教、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)アジア研究所客員准教授などを経て、2019年から現職。早稲田大学IT戦略研究所招聘研究員。専門は、競争戦略とイノベーション、アントレプレナーシップ。主な著書(分担執筆)に『1からのアントレプレナーシップ』(碩学舎)、『モバイルバリューの社会システム』(経済産業調査会)などがある。日本ベンチャー学会清成忠男賞(論文部門(奨励賞))受賞。大手企業・スタートアップにおける経営アドバイザーや社内研修講師もつとめる。


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