新製品のアプローチにおいて、同社が現状注力しているのは「プラズマクラスターが髪にも良い」と伝えていくこと。空気清浄機などに使われている「除菌・消臭」効果への認知は取れているものの、「髪にも良い」という事実を知る人は少ないためだ。
マーケティングでは俳優・シンガーソングライターの宮世琉弥(みやせ・りゅうび)さんをアンバサダーに起用して、若年層にもアプローチを図る。また、3月に実施されたファッションイベント「札幌コレクション」や「マイナビ 東京ガールズコレクション」に協賛し、ファッションや美容への興味が強い層へもPRした。
「プラズマクラスターの効果を地道に伝えながら、よりユーザーが身近に感じられるようなプロモーションを行っています。デジタルで静止画広告を一方的に発信するより、モデルの方やユーザーのSNS投稿で共感を誘ったり、屋外に大きな広告を出したり。ユーザーみずからが共感をアピールしたくなるような仕掛けを、今後も検討しています」
長い目でシェアを伸ばすには「ラインアップの拡充が選択肢になる」としながらも、慎重な考えを示した。
「新ブランドとして価値を高めるにあたり、闇雲にラインアップを広げてしまうと、場合によってはブランド価値を毀損しかねません。しばらくはハイエンドを中心に、より広い年齢層や性別にアプローチして成長を目指す方針になりそうです」
25年には美容家電市場での売上高5倍(22年度比)を目標に掲げる。ドライヤー以外のカテゴリーにも製品群を広げて、高みを目指したいという。
「一番の難しさは、美容家電市場のトレンドの移り変わりの速さです。ヘアケア家電や家庭用脱毛器など安定成長しているモノもあれば、ブームが過ぎれば売れなくなるモノもある。安定成長しているカテゴリーで勝負する、あるいは成長が見込めるカテゴリーを慎重に見極めるのどちらかで参入を考えています」
美容家電市場は、コロナ禍の「おうち美容」需要などにより市場が拡大、今後も伸びが期待されている。同市場で存在感のあるパナソニックやヤーマン、ReFa(リファ)などを展開するMTGなどの美容家電も売り上げは好調のようだ。シャープが競合と戦うには、新型ドライヤーのように「尖った要素」と「確かな機能性」が求められそうだ。
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