山手線の「発車メロディー」で、“企業の存在”を感じられる駅がある理由「次の駅まで」に読めるハナシ(3/4 ページ)

» 2024年03月26日 06時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

地域に根差した家電量販店のCMソング

 大手家電量販店の「ヨドバシカメラ」と「ビックカメラ」はレールサイド戦略に注力していて、主要駅の近くに店を構え、品ぞろえの良さや充実したポイントサービスなどで人気を集めている。

 両社の本店がある最寄り駅は、ヨドバシカメラが新宿駅、ビックカメラが池袋駅である。そのため池袋駅の山手線ホームの発車メロディーは、ビックカメラのテーマソングとなっている。ビックカメラは池袋駅のある豊島区とパートナーシップ協定を締結しており、この曲が発車メロディーとして使用開始されたのは、24年3月1日からだ。

池袋駅の発車メロディーにビックカメラのテーマソングが採用された際には、記念セレモニーを実施。ビックカメラ女子ソフトボール高崎 BEE QUEENに所属する上野由岐子投手が1日駅長に就任した(出典:プレスリリース)

 山手線の池袋駅は、5番線と6番線が内回り、7番線と8番線が外回りとなっている。うち、普段から山手線の列車が発着しているのはホームドアがある6番線と7番線である。この2線は別々のホームとなる。

 現場で聞いたところ、両ホームとも同じ発車メロディーを使用しているようだ。うまく聞き分けられず、ちょっと違うのかもしれないが……。

 ビックカメラが池袋駅でこうしたPR活動に力を入れるのは、西武百貨店池袋本店がヨドバシホールディングス出資の投資ファンドの傘下になったことが影響していると考えられる。今後、西武百貨店にヨドバシカメラが入る可能性もある。

西武池袋(提供:ゲッティイメージズ)

 ビックカメラとしては、本拠地で負けるわけにはいかないのだろう。池袋駅ホームには、ビックカメラの存在を示すかのように同店のCM曲が流れるのだ。ちなみに、池袋駅での山手線の停車時間は長い。ということは、広告効果も高くなるのだ。

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