山手線の「発車メロディー」で、“企業の存在”を感じられる駅がある理由「次の駅まで」に読めるハナシ(2/4 ページ)

» 2024年03月26日 06時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

手塚治虫がいた街の駅に

 高田馬場駅周辺は漫画家・手塚治虫ゆかりの地でもある。かつて彼の仕事場があって、現在は手塚プロダクションがオフィスを構えている。そのため、高田馬場駅の発車メロディーは『鉄腕アトム』のテーマ曲である。

高田馬場駅

 発車メロディーには同テーマ曲の一部分を抜き出していて、山手線の外回り/内回りで混ざらないようにアレンジを変えている。高田馬場駅は利用者が多いにもかかわらずホームは狭く、人の行き来が激しい。その上停車時間が短いので、発車メロディーが流れる時間も短い。ちなみに高田馬場駅の山手線ホームも島式ホーム1面2線である。

企業関連の発車メロディーが増えている

 企業との関係が強く感じられるのは、恵比寿駅の発車メロディー『第三の男』である。1949年に上映された白黒映画『第三の男』でも使用されている。

 エビスビールはサッポロビールが手掛けるプレミアムビールで、値段が少し高いことで知られている。恵比寿の地には、エビスビールをつくっていた工場が88年まで存在していた。恵比寿駅の発車メロディーはそのビールに由来しており、2005年6月から使用されている歴史の長いものだ。

ビール醸造所の跡地に建てられた恵比寿ガーデンプレイス(画像:ゲッティイメージズより)

 現在は恵比寿からビール工場は消えたものの、恵比寿の地でおいしいビールが作られていたことを伝えるかのように、エビスビールのCM曲が発車メロディーになっている。恵比寿駅は山手線と湘南新宿ライン、埼京線がそれぞれ島式ホームとなっており、山手線ホームは同じホームに外回り/内回りの人が降車できるようになっている。そのため、『第三の男』のアレンジは違うものになっている。

恵比寿駅

 では、ホームが外回りと内回りで別々の駅は、どうしているのだろうか。最近新しく、企業に関連した発車メロディーが流れる駅のホームに行ってみた。

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