「子ども服」の次は? ワークマンが次に展開しそうな業態長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)

» 2024年03月27日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

ベビーにシニア、職人と「伸びしろ」は多い

 アウトドアブームが終われば、大人はキャンプにあまり行かなくなり、ワークマン製品の購入も減るかもしれないが、遊び盛りの子ども向けの商品では、アウトドア向けの機能は重宝される。また、子どもは成長が早いため買い替え需要も多く、ショップに来る頻度も増える。

レインウェアも人気の商品だ(同前)

 子ども服を購入するために親がショップにやって来ると「ついでに自分の服も」と、購入する人は増えるだろう。ワークマンの場合、子ども服も大人の服も、基本的に同じデザインのペアルックなので、親も自分用の服を見つけやすい。

同社主催の「ファッションショー」でもペアルックの提案があった(出所:同社プレスリリース)

 ワークマンキッズではまだ、ベビー服など幼児向けの商品は出していないが「反応を見て、ニーズがあるようなら」(同社広報)と、既に計画自体はあるようだ。その他、今後は過疎地で需要が多いシニア向け商品の強化、一般顧客が増えてお店に入りにくくなったという不満が聞こえる職人用商品の再構築と、ワークマンにはまだまだ改善の余地が十分ある。

 それらのニーズに応えるには、より一層の変化を遂げる必要がある。生みの苦しみで、一時期業績が落ち、踊り場を迎えるかもしれない。しかし、ワークマンの主力工場がある中国は、デフレの長期化が見込まれており、カントリーリスクもあるとはいえ、良い方向に転ぶと、安価で長期間、商品の調達が可能になる。

 他方、日本は今後緩やかなインフレが進行すると思われ、物価に見合った商品価格の値上げは可能だ。そうなると、ワークマンはより安価で仕入れた製品を、より高額で売れることで、高収益を長期間維持できる。果たしてシナリオはどのように進行するだろうか。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.