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コンサル企業が今、「ITエンジニア」の採用を重視するワケQ&A

» 2024年03月28日 06時30分 公開

Q: 現在30歳でSIer企業にてエンジニアとして勤めています。コンサル企業に行きたいと漠然と思っているのですが、多種多様な企業があって企業理解に悩んでいます。また、実際にコンサル企業はITエンジニアを求めているのでしょうか?

コンサルティング業界への転職、どうすべき?(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ、以下同)

今、コンサル企業がエンジニアを求めている背景

A: 自己理解を深め、コンサルティング業界の企業分析を行いましょう。

 昨今コンサルティング企業で、SIer出身のエンジニアを採用するケースが徐々に増えてきています。また、コンサルティング企業は採用予算を年々拡充している一方で、高まる需要に対して人材獲得は追い付いていないという実態があります。

 コンサルティング企業がSIer出身のエンジニアの採用を加速化している背景としては、(1)DX需要が増し、デジタル/ITに関する知見が豊富な人の需要が高まっている(2)コンサルティングや企画立案で終わらず、その後の実行部分まで責任をもって提供していくようになっている――といった点が挙げられます。

ITエンジニアのスキルが求められている

 SIerで培った要件定義や基本設計の経験や豊富なIT知識、PMとしての予算管理やプロジェクトマネジメント、品質管理の経験などが求められているといえるでしょう。その上で、ご自身に合った企業を選ぶためには、自己理解とコンサルティング企業理解の二軸が必要です。

 まず自己理解として、(1)コンサルティング企業に行きたい理由、(2)コンサルティング企業で何をしたいのか、(3)自身が活躍しやすい環境の3点を言語化することが重要です。

 コンサルティング企業に行きたい理由は人それぞれでしょうが、「自らの仕事を通して社会的な大きなインパクトをもたらしたい」「高いスキルを身につけたい」「収入を上げたい」など、きっとさまざまな理由があるでしょう。

 コンサルティング企業で何をしたいのかについても、「最上流の戦略部分から考えたい」「クライアントと顧客折衝をしたい」「最上流の工程から開発工程まで一気通貫で携わりたい」など、人によってさまざまです。

 自身が活躍しやすい環境も人それぞれ異なると思います。充実した研修制度やサポート体制、広い裁量権があるか、自己の技術力を生かして開発にも関与できるかなどの要素を考慮する必要があります。

 コンサルティング業界の企業理解については、(1)会社規模(大手か中小か)、(2)専門分野(戦略/業務/ITコンサルのどこに強みをもっているか)、(3)システム開発(構築)工程まで行うのか――の3点について理解を深めることが大切です。

 まず、会社の規模によって研修やフォロー体制、担当する業務の範囲は異なります。一般的に大手のコンサルティング企業は研修制度やフォロー体制が整備されていることが多いと思います。または特定の業界/ソリューションで組織を分けている場合もあるため、特定領域の専門性を高めやすい傾向があるといえるでしょう。

 一方、中小規模のコンサルティング企業の場合は、裁量権を持ちやすく、特定領域に特化していないが故に幅広い業界/ソリューションを学びやすいといえます。

 加えて、コンサルティング企業は大きく分けると戦略コンサル/業務コンサル/ITコンサルに分けられます。企業によっては特定の分野に特化していたり、特化していなくても得意分野を持つ場合があるため、自身が何をやりたいかによって見極めが必要です。

 「コンサルティング企業がシステム開発(構築)工程まで行うのか」といった点も重要です。近年、顧客の課題解決をEnd to Endで行うことを目的に、開発工程を内製化する企業が増えつつあります。一方、開発工程は外部ベンダーに委託し、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としての役割を果たすスタンスを取る企業も多く存在します。

 上記は一例ではありますが、まずはこうした観点から情報を整理してみると企業選びをしやすくなるでしょう。

著者プロフィール:芦野 成則

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レバテック株式会社 リクルーティングアドバイザー

一橋大学を卒業後、官公庁に5年半勤務し、2019年にレバレジーズに中途入社。

レバテックのキャリアアドバイザーとして、年間約300人以上のエンジニア・ITコンサルタント向けのキャリア支援を行い、その後ハイクラス専任チームの立ち上げに従事。

現在は企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザーとして、人事目線での社内実情やIT人材の転職市場動向を踏まえ、多角的な視点から採用支援を実施。

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