クセになるスープがドライバーを魅了! 「ラーメン山岡家」がコロナ禍明けで一気に成長できたワケ(3/3 ページ)

» 2024年04月08日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]
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24年1月期に大きく業績が伸びたワケ

 山岡家が成長し続けた理由としては「24時間営業」と「品質の高さ」の2点が考えられる。ロードサイドでは早朝や深夜に営業している飲食店は数少なく、職人やタクシー・トラックドライバーといったエッセンシャルワーカーのニーズをつかめていると考えられる。

 品質の高さについては、店内調理の濃厚な豚骨スープがウケたといえる。競合チェーンと比べて突出して安いわけではないが「たまには一定の品質があるラーメンを食べたい」と考える層を取り込んだのではないか。かなり独特な豚骨の臭いを苦手とする意見はある一方、ファンの間では「クセになる」という声もあり、ある種の中毒性も人気の秘訣かもしれない。

子ども向けのセットやラーメンもある(同前)

 24年1月期の躍進についても考えてみよう。同社によると、既存店客数は前年比で3割超も増え、予想以上の増収幅だったという。念のため調べたところ、ロードサイドの交通量が前年比で3割も増えたと考えるのは難しく「山岡家に行きたい」と考える客がそれだけ増えたことを表している数値だ。

サイドメニューも豊富だ(同前)
家庭調理用の「新乾麺」(同前)

 山岡家は24年1月期において、認知度を高めるための施策を強化してきた。エリアと属性を絞ったうえで実施したYouTube広告は835万回の再生回数を記録している。また、23年10月より自社アプリを展開し、クーポンやくじ引きなどのサービスを提供している。グーグルマップにおけるMEO対策も行った。

 売上高好調の要因として運営会社はSNSやYouTubeによる認知度上昇を挙げており、上記のような施策が効果を発揮したことが分かる。

 つまり山岡家の認知度が高まり、チェーン店として認識されるようになったことが集客につながったと考えられる。一見、こだわりの強い個人店に見える山岡家だが、チェーン店として認識されれば消費者も入りやすいだろう。このほかにも、中心部の昼間人口減少に伴うロードサイド人口の増加や、深夜営業店舗の減少による自社店舗への集中なども増収に貢献したという。

 なお、当初の中期経営計画では24年1月期の売上高を約203億円、26年1月期に関しては約234億円という目標を掲げていた。それらを24年1月期決算で悠々と超えたため、同社はあらためて計画を策定するとしている。チェーンとしての認識が広がった今、新規出店のハードルは下がっているはずだ。今後、ロードサイドで「ラーメン山岡家」を見かける機会が増えていくかもしれない。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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