フランスのものづくりの偉大なる回帰点として、DSが選んだモチーフは時計である。かつてマリー・アントワネットがアブラアム=ルイ・ブレゲに時計を作らせた逸話があるように、フランスはかつて時計工業で名を馳せた。DS7のシステムスタート(エンジンスタート)ボタンを押すと、B.R.M社製の機械式時計がグルリとからくり仕掛けでひっくり返って出現する。
廉価トリムでは省略されている装備だが、インテリアデザインとしてはまああざとい。最上級トリムでは時計の金属バンドを模したシートデザインが、そして車両の各部にはルーブル美術館のガラスのピラミッドから得た菱形のモチーフが内外で徹底的にリピートされる。
素直にカッコいいかといわれると口籠(くちごも)るが、それを下品になる直前寸止めでギリギリ成立させているところはさすがの手腕である。他国では逆立ちしても真似のできない傾(かぶ)いたデザインである。
ということで現状選択肢の少ないハードウエア構成の都合もあって、何よりもまず「先進性」というキーワードが重要であり、同時にあまりコンサバティブは求めない。多少不便だろうが実用的でなかろうがそれより、インパクトを求めざるを得ないという環境に今のDSはいるのである。
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