さて、このような景気のいい話を聞いていると、心配になる人も多いだろう。冒頭で紹介したように、ブームでこの世の春を謳歌(おうか)している企業や事業者ほど、ブームが終わったときのダメージが大きい。脱サラしてタピオカミルクティー店を始めたが、ブームが去って残ったのは借金だけ、という悲劇もよく聞く。
実際、当事者も「終わり」を見据えている。『毎日新聞』(4月13日)で取材に応じた「生ドーナツ店関係者」は、こんな切ないことをおっしゃっている。
「末永く愛されたいが、ブーム終了も見据えて初期投資を短期間で回収できるように、出店方法や運営を工夫している」
多くの人がそう不安に感じるのは「前例」があるからだ。15年ごろもメディアが「ドーナツブーム」を煽(あお)った。大手コンビニ各社はレジ横にドーナツコーナーを設けたが、売り上げはそれほどでもなく1年ほどで撤去されてしまったのである。今回の「生ドーナツブーム」もあのときのように「騒いだわりにパッとしなかった」で終わってしまうのか。
いろいろな意見があるだろうが、筆者はやりようによってはそのような未来を回避できると考えている。それどころか、うまくいけば生ドーナツを「日本の食文化」の1つとして観光資源などにしていくことも夢ではないとさえ思う。
「ずいぶん大風呂敷を広げるじゃないか」と失笑する人も多いだろうが、これにはちゃんとした理由がある。
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