「生ドーナツ人気」をブームで終わらせるのはもったいない、これだけの理由スピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2024年04月17日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「行列ができるほどの大人気!」とテレビの情報番組などで持ち上げられたことで、似たような専門店が続々オープン。しかし、ほどなく「なんか最近やたら多くない?」と大衆の熱が一気に冷めて閑古鳥状態となり、久しぶりに店へ行ったら「居抜き物件」になっていた――。

 ここ数年、そんな平家物語のような盛者必衰サイクルが速いスパンで繰り返されている。記憶に新しいところでは、立ち食いステーキ、タピオカミルクティー、高級食パン、から揚げ専門店だが、その次になるのではないかと心配されているのが、「生ドーナツ」だ。

全国5店舗を展開する「I'm donut?」の生ドーナツ(出典:プレスリリース、以下同)

 ご存じの方も多いだろうが、2年ほど前から生ドーナツブームが続いている。

 火付け役は、2022年3月、東京・中目黒にオープンした生ドーナツ専門店「I'm donut?」だ。福岡発祥の人気ベーカリー「アマムダコタン」が仕掛けるこの専門店は、卵とバターを多く配合したオリジナルのブリオッシュ生地でつくられたふわふわのドーナツを販売。それが「生ドーナツ」として話題を集め、瞬く間に行列ができる人気店となった。順調に店舗を増やして渋谷、福岡・天神、原宿、表参道と24年4月現在で5店舗に拡大している。

「I'm donut? omotesando」
I'm donut?の人気商品(出典:公式Instagram)

 こういう「カテゴリーメーカー」が注目を集めると、2匹目のドジョウを狙って続々とパク……ではなく、似たコンセプトの専門店が生まれるのが常だ。23年ごろから大都市圏でコーヒーショップやカフェなどがスピンアウト的に「生ドーナツ専門店」を続々とオープンしている。

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