AI動画をめぐっては、こんな例もある。2024年3月、中国のAI関連企業であるセンスタイム(商湯集団)が年次総会を行った。その総会では、共同創業者の湯暁鴎氏がスピーチをしたのだが、実は湯氏は前年の12月に亡くなっており、スピーチは言語モデルの機械学習プログラムを使って作られた湯氏のデジタルクローンによるものだった。
現在、先に紹介した死者と対話できるサービスも、こうしたデジタルクローンも同様に、生成AIで動画を作るのは技術的にも非常に簡単だ。筆者も先日、オンライン上の詐欺広告について取材をしていた際に、自分が話している動画を使って、AIで自分の顔を別人に変えてみたところ、あっという間にできてしまった。今では、動画の顔を入れ替えてしまう生成AIのサービスや、音声サンプルからAIで人の声を再現できてしまうサービスがインターネットですぐに見つかる。
こうしたデジタルクローンは、「ディープフェイク」という言葉でも知られている。そもそも、AIを使って人の顔を動画に埋め込む技術は2017年に米国で初めて問題視され、当時からディープフェイクと名付けられて注目されてきた。当時、「ディープフェイク」という名のネットユーザーがAIを使ってセレブの顔をポルノ動画にはめ込み米人気オンライン掲示板で公開したことで、大きな問題になり、論争になってきた。
以降、そのようなAIで顔を入れ替える動画は、一般的に「ディープフェイク」と呼ばれてきた。また、作成アプリなども登場し、一般ユーザーが手軽に動画を作るようになった。多くの人が使うようになって、クオリティーもますます高くなっている。
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