メニューたった3種類で急成長「鰻の成瀬」 東京チカラめし、いきなり!ステーキを反面教師にできるか長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2024年04月29日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 鰻の成瀬は“ファストカジュアル”のスタイルだ。一般的な鰻専門店では提供までに30分ほどかかるの対して、鰻の成瀬では10分以内と、比較的クイックに商品を提供できる。ここまで挙げたファストフード系とは異なり、街場の鰻専門店との中間ゾーンを狙っているのが特徴で、新しいマーケットを切り開いている。ハンバーガーになぞらえると、宇奈ととは「マクドナルド」、それに対して鰻の成瀬は「モスバーガー」に照応するだろうか。

鰻の成瀬のこだわり

 同じような狙いの鰻専門店もポツポツと見かけるが、現状は鰻の成瀬が圧倒的な一人勝ちをしている。鰻の場合、立ち食いステーキ・高級食パン・から揚げのように、どんどん競合店が出てきたり、焼き牛丼のように既存の牛丼店が競合商品を出してきたりすることもない。

 材料面では、商社を通して、中国や台湾などで養殖したニホンウナギを使用している。現在は知名度が上がったため商社からの売り込みも多く、その中から条件の良い会社をチョイスして、複数の仕入先を確保している。

 仕入れた時点では1次調理を施しており、冷凍して各店舗に送る。店舗では、仕込みの段階で鰻を蒸し、オーダーが入ってから焼いて提供する。鰻の成瀬の調理は、関東風の蒸し焼きであるが、しっかりと焼き目を付けており、仕上がりとしては、関西風の素焼きとの中間くらいになっている。中はふっくらとしていながら表面はカリッとしていて、“カリふわ”な食感だ。コクのある甘めのタレで、幅広い年齢層に対応している点も強い。

 店の月商は、平均すると400万円ほど。鰻は、土用の丑の日が1年で最も売り上げが多く、冬に向かって減少するサイクルだが、近年は冬も売れるようになってきた。鰻はテークアウトやデリバリーのニーズも高く、店内飲食の売り上げにオンできるのも強みとなっている。

鰻の成瀬のこだわり

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