100円ショップ市場が1兆円を初めて突破 円安の影響は?(1/2 ページ)

» 2024年05月16日 17時00分 公開

 物価高騰が続く昨今、ワンコインで生活用品の多くがそろう「100円ショップ」市場の成長が続いている。帝国データバンク(東京都港区)の「100円ショップ業界」についての調査・分析によると、大手4社を中心とした国内市場(事業者売上高ベース)が、2023年度は1兆200億円前後で推移する見込みであることが分かった。

photo 帝国データバンクは、「100円ショップ業界」について調査・分析を行った(出所:photoAC)

 これは前年度から約5%程度増加、10年前と比較して1.5倍の規模に拡大したこととなり、「100円ショップ」市場としては初めて1兆円を突破するという。大手4社の店舗数は2024年3月末時点で8900店前後に達する見込みで、前年度から200店以上、過去10年で1.5倍、約3000店の増加になる。

photo 「100円ショップ」市場 推移(出所:プレスリリース、以下同)

 各社とも郊外店のほか、面積の小さい都市型店舗などで積極的な出店を続けた一方、不採算店を中心に閉店・退店が進み、全体の増加率では前年度比3%前後の伸びにとどまった。

 ただ、各社で引き続き年間100店前後の新規出店が続いていて、帝国データバンクは「2030年度までには国内累計で1万店規模に到達する」とみている。

 2023年度の「100円ショップ」市場は、「物価高」の影響で強まった「節約志向」が追い風となった。また、購入頻度の高い日用雑貨のブラッシュアップや、ガーデニングやDIY、アウトドア用品などでは安価な「エントリーモデル」としての立ち位置を確立したことも、幅広い顧客層の獲得につながったと見られている。

 一方で、店舗網の拡大にともなう人件費の増大や、プラスチック素材をはじめ原材料価格、なかでも急速な円安の進行に伴う輸入コスト増などの影響も表面化し、利益面では前年度から悪化したケースがみられた。

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