――価格設定にもデータで根拠づけをしていると聞きました。
「価格弾力性」という概念がありまして、商品によって、価格を変動させたときの売れ行きへの影響が全然違います。当社ではその影響度合いを5段階に分けています。
つまり、価格変動に対して消費者が敏感に反応する商品については、割り引き価格を打ち出したりチラシやクーポンで強く訴求したりする。一方で価格変動が購買数にそこまで大きく影響しない商品は、適正価格で販売して利益を確保する――というように、価格弾力性を加味した価格設定を行ったり、キャンペーン施策を打ったりしています。
価格弾力性は季節やピークによって変わってくるのですが、かつては人間の経験と勘に頼っていました。商品ごとの価格と購買数の影響度合いをデータで可視化できたことで、ムダな値下げ価格の是正ができるようになりました。
こうして価格弾力性に基づく適正価格設定を徹底した結果、この2年間で粗利率を1ポイント以上改善できました。値上げによる効果ではなく、ムダな値下げをなくした効果なので、かなりのインパクトだと考えています。
――確かに、ドラッグストアで売っている卵はとても安いなと感じる時があるのですが、あれは利益が出ていないのですか?
卵単体では利益は出ていないと思います。お求めやすい価格にするのは集客という目的もありますし、卵単体では赤字でも、他に購入してもらう商品全体でしっかり黒字にしていくという考え方もあります。
そして卵が安いと認識してもらえれば、週に1回は来てもらえるようになるかもしれません。こうした来店頻度を確保することで利益を出すパターンもあります。ただし、来店動機は卵だったとしても、来店してくれた時に何かしら衝動買いをしてもらえるような、ワクワク感を生み出す工夫をしていかないと、そのうち卵しか買ってくれなくなってしまう(笑)。そういった現場の工夫はし続けなくてはならないと考えています。
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