マイナビバイトの取り組みとは別に、独自に座りレジを導入しているのが食品スーパーのベルクです。
ベルクでは座ってレジ打ち作業ができるよう、一部店舗で椅子を設置しています。狙いは従業員の身体的・心理的な負担を軽くして、接客のクオリティを高めること。従業員からは「腰痛を患っているので、少し楽になった」「手が空いた際に座れるのが良い」というポジティブな声が寄せられています。今後は導入店舗を拡大していく方針です。
ベルクは以前「従業員の身だしなみ 多様化、始まる」として店内に掲示したポスターをXに投稿しました。従業員の髪型やネイルなどの基準を大幅に緩和するもので、同社の投稿には数万件を超える「いいね」がついて話題になりました。
このようにベルクは店舗で働く人の選択肢を増やし、多様性のある働きやすい職場づくりを目指しています。
身だしなみの自由度が高く座りレジが当たり前になっていくベルクと、身だしなみが厳しく立ちっぱなしレジのスーパー。両社が同じ時給だとすれば、ベルクで働きたいと思う人が多いのではないでしょうか。
そもそもなぜ、日本や米国の一部小売業では立ちっぱなしレジが基本になっているのでしょうか。まず、日本のスーパーマーケットやコンビニは米国式の店づくりを輸入して作られてきたものですから、原則として米国式の「効率追求型」の設計になっています。
特にセルフ販売中心の食品スーパーは、対面で商売をするのが当たり前だった業界に大きな影響を与えました。お客さんが自分で商品を手に取って買い物かごに入れる販売方式を徹底させる革新的な方法だったからです。いかに効率良く、たくさんのお客さんをさばけるかという観点から、レジではスピーディーな作業が求められたのです。
つまり、都合が良いのは立ち作業なのです。商品でいっぱいになったカゴを一度に動かすためには、立った方が効率がアップします。商品の価格をレジに打ち込んでカゴからカゴに移していく作業も、立ったままの方がやりやすいでしょう。
何か別の作業をするために移動したり、お客さんのサポートをしたりといったときにも立ちっぱなしの方が効率が良さそうです。こうした理由で、立ちっぱなしのレジが標準形になったのです。その後、米国式のスーパーなどではベルトコンベア式レーンも導入されるようになり、より効率的なレジへと変化していきました。
「セルフレジにキレる老人」問題どうする? 模索続く大手企業 要注目の「スローレジ」とは
なぜスーパーのレジで“PayPay渋滞”が起きるのか 大手流通の存在がチラリCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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