これまでレジカウンターや接客カウンターは、高さが70〜90センチ程度で、高さを調節をできない固定式が主流でしたが、最近では可変式のものが登場してきました。レジスタッフの身長の違いや業態特性なども踏まえて、レジ台も変化し始めたのでしょう。
椅子も、可変式のものや、マイナビバイトチェアのような完全に座らないタイプのものもあります。より働きやすいよう、小売業の店舗備品も変化してきたことが、座りレジを後押しするようになった一因といえます。
ただ、消費者が“タイパ”を求めがちな都心の駅前コンビニやエキナカの店など、売り場面積が小さく、客数が非常に多いような店舗では、効率性の観点から今後も立ちレジが基本となるでしょう。セルフレジを導入する店舗やレジレスの店も増えていくでしょうから、全てのレジで座れるようにはならないと考えられます。
座って接客できるようにするか、立ちながら接客するのを基本とするのか。この点は、自社店舗のコンセプトや立地特性に大きく依拠します。例えばメガネ店では、メガネの微妙な調整をしながら接客する必要がありますから、基本的に座りとなるでしょう。反対に、コンビニのように客数が多くカウンター作業が多い場合は、立って接客した方が効率的です。
折衷案として、働きやすさのために座れる椅子をレジに用意しておき、座れるときには座る。そして、忙しいときには立って仕事をするのがベターではないでしょうか。肝心なのは、タイミングに応じて選べるようにすることです。立ちっぱなし問題をきっかけに、顧客満足と従業員満足のバランスを取ることをこれまで以上に考える企業が増えることを期待します。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
「セルフレジにキレる老人」問題どうする? 模索続く大手企業 要注目の「スローレジ」とは
なぜスーパーのレジで“PayPay渋滞”が起きるのか 大手流通の存在がチラリCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング