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「黒づくめの組織」が起爆剤に? 『名探偵コナン』の映画がヒットし続けるワケエンタメ×ビジネスを科学する(2/4 ページ)

» 2024年05月27日 08時00分 公開
[滑健作ITmedia]

「恒例化」したプロモーションで、離脱したファンを取り込む

 2021年に開始した新たな試みは、総集編映画の製作と、映画公開に向けてファンの関心を盛り上げるための取り組みを「恒例化」したことである。従来より映画公開直前に行われていた、その年の映画でスポットを浴びるキャラクターに関する特別番組を、テレビシリーズの総集編映画として年始に公開するようになった。

 総集編の映画化自体は他のアニメ作品でも行われているが、『名探偵コナン』では独自の要素を組み合わせ、この手法を恒例化・パターン化している点に新規性がある。

 具体的なスケジューリングは以下の通りである。映画のエピローグで次回作のスポットキャラクターを発表し、11月から12月にかけて映画タイトルとキービジュアルを公開する。1月には総集編映画を公開し、後に放送や配信も行う。3月後半から4月にかけては特別番組の放送や過去作品の再放送を実施し、4月中旬に本編の新作映画を公開するというパターンを恒例化している。

怪盗キッドからの「予告状」(公式Xアカウント@conan_movieから引用)

 このサイクルにより、コアなファン層の期待を高めつつ、新規層やライト層、さらには一度離れていたリターン層も自然な形で映画への興味を持つようになる。前述した継続性と、毎年映画を放映できる体制・環境があってこそではあるが、ファンを維持し、新たに呼ぶという点で恒例化できている点は強みである。

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