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退職後のキャリア実現、5割が「活用したい制度ない」 ミドルシニアの期待と企業制度にギャップ

» 2024年06月04日 08時30分 公開
[ITmedia]

 少子高齢化によって、労働人口が右肩下がりを続ける日本。企業はシニア社員に活路を見いだし、再雇用制度や業務委託などさまざまな策を講じている。

 しかし、ニューホライズンコレクティブの調査から、退職が視野に入っているミドルシニアの期待と会社の制度にギャップがあることが分かった。

退職後のキャリアについてミドルシニアはどう考えているのか?(画像:ゲッティイメージズより)

 人事に対し「社員が退職後も活躍できるように実施している制度」について尋ねたところ、69.9%が「再雇用制度」と回答した。以降、「雇用延長制度」(48.1%)、「アルムナイ制度」(24.3%)と続いた。

社員の退職後の活躍のために実施している制度(画像:以下、プレスリリースより)

 その恩恵を受けているミドルシニアも多いようで、大企業に在籍しているミドルシニアの43.0%が、退職後のキャリアを実現するために活用したい企業制度として「再雇用制度」を挙げた。

 一方、ミドルシニアの2人に1人が「企業の制度を活用したくない/制度がない」と回答。人事と労働者の間で制度への期待にギャップがあることが明らかになった。

退職後のキャリアを実現するためにどのような企業制度を活用したいか?

ミドルシニアは何を求めているのか?

 ミドルシニアに現在の会社での労働意向を調査したところ、51%が退職後も現在在籍している会社に「貢献したいと思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した。

 理由としては、定年を見据えながらも「まだまだやる気があるから」「自分の貢献度を再認識してほしい」などが挙げられた。

ミドルシニアの半数が現在在籍している企業に退職後の貢献したいとしている

 ミドルシニアの労働意欲に対して、人事も十分な制度を用意できていない実感があるようだ。人事の71.3%が「実施している制度とミドルシニアが求める制度に乖離がある」と回答している。また、その期待を明確に把握できていない、または把握していても実現できていないことが分かった。

7割の人事が「実施している制度とミドルシニアが求める制度に乖離がある」と回答

 しかし、人事の約67%が「今後も退職者を含むミドルシニアと良好な関係を保つために制度を充実したい」と回答。退職後も企業に貢献したいと思うミドルシニアも多く、人事としても良好な関係を構築していきたいという意向が明らかになった。

約7割の人事が「退職者を含む社員と良好な関係を保つためにサポートを充実させたい」と回答

労働に対する報酬、何を求める?

 ミドルシニアが労働の報酬として最も重要視しているのは給与水準やボーナスなどの金銭報酬だったが、それ以外に29.5%が「仕事仲間からの共感」、26.5%が「人からの感謝」といった、感情報酬も重視していることが分かった。

 一部のミドルシニアは仕事へのやりがいや、人からの感謝などポジティブな感情を抱ける環境を求めているが、人事の41.6%が「感情報酬を生み出す取り組みを検討していない」と回答した。

 その他、労働に対する報酬としては「仕事へのやりがい」(55.0%)、「福利厚生」(35.5%)、「社会的地位」(13.5%)などが挙げられた。

ミドルシニアは「労働に対する報酬」として何を求めている?

 調査は45〜65歳の会社員400人と1000人以上の従業員を抱える大企業の人事担当400人を対象に実施した。期間は2024年3月23〜26日。

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