出社回帰が進んでいるといっても、既に働き手の意識の中や職場内のあらゆる場面においてテレワークは溶け込んでいます。また、テレワークだとリアルの場に集うのと同じようなグルーヴ感は得られないとしても、それがなければならないかどうかについては、職場の考え方によって判断が分かれるところです。中にはテレワーカーのみで事業運営している会社もあります。
まだ携帯電話もなかった時代には、職場が不在の際に留守番電話に切り替えておいたりすると「機械に応答させるなんて無礼千万だ!」と顧客からおしかりを受けるようなこともありました。しかし、いまではメールやチャットなどで用件を済ませたり、ビデオ会議を用いて打ち合せすることなどへの抵抗感はかなり薄まっています。
新しいツールの出始めや新しい就業環境へ移行しつつあるころは、これまでの常識にとどまり続けようとする心理的な慣性の法則が働き、変化に抵抗を感じやすくなりがちです。テレワークに関してもまだ、心理的な慣性の法則が働いている可能性があります。
しかし、今後のさらなる技術発展やテレワーク環境への慣れが進んでいく中で、職場や働き手の認識がこなれていけば、心理的な慣性の法則からは徐々に解放されていくことでしょう。また、再びコロナ禍が想定されるような事態が起きれば、危機管理意識が高まってテレワークの意義が改めて見直されることだってあり得ます。
そのような場面に遭遇してから動いていては、コロナ禍の教訓を生かしたことにはなりません。最も大切なことは、必要な時に最適な働き方へと自在に切り替えられるよう環境を整えることです。それをしないまま、ただ出社回帰するだけの会社とテレワークの最適化を進める会社の間には、日に日に大きな差が開いていくことになるでしょう。
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