なぜテールランプがまぶしいクルマが増えているのか クルマづくりに欠けている視点高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)

» 2024年06月21日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

誰からも評価されるのが「いいクルマ」

 もちろんトヨタのクルマだけがまぶしいのではなく、マツダのCX-8など、他メーカーでもこうしたデザインは見られる。

 これらは、照度は基準値をクリアしているから問題ない、ブレーキランプの点灯がスモールランプより強い光だから判別できる、という判断なのだろう。しかし、ブレーキランプがLED3灯によって賄われるということは、それだけ小さな面積で強い光を放っていることになる。後続のドライバーにとって迷惑以外の何物でもない。

 離れたところから見るのであれば、ブレーキランプの点灯が分かりやすく安全だが、低速で走行しているときは車間距離が近くなり、そこで頻繁にブレーキランプが点滅すると後続ドライバーを刺激する。交差点などで停車中も、ずっとブレーキランプの光を浴びることになるのだからたまらない。

工事渋滞で車間距離が詰まった道路を走行中。右のパトロールカーの大きな赤いランプが目立つが、前走車のレクサスNXのブレーキランプ(スモールランプの下で光っている部分)もまぶしい(一部加工)

 ウインカーランプも、LED化により強い光を放つ車種もある。これも見る角度によっては、かなりまぶしさを感じるものがあり、本来の合図を逸脱しているのではないかと思われるケースもある。

 結局、売らんがためのデザインであり、買ってもらうユーザー以外の配慮に欠けたデザインは、長い目で見て、多くのユーザーから反感を買うことになりかねない。「要は売れればいい」という感覚であれば、ブランドイメージは低下していくだろう。

 「いいクルマ」というのは売れたクルマではなく、購入したユーザー、運転するドライバー、同乗者、周囲を走行するドライバーなどから評価されるものである。

 そんな理想論を言っても、売れなければ意味がないと思う方もいるだろう。しかし日本の自動車メーカーは、ユーザーへの細かい配慮が評価されてきた。

 リアにエンブレムを付けて、後続のドライバーにブランドをアピールしている割には、印象の悪いテールランプを採用するなど、矛盾している要素があるなら、改善すべきだ。これは先の認証試験の不正問題にも通じる、自動車メーカーのおごりと言われかねない。

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