4月に2.5%へ引き上げられた民間企業の法定雇用率は、2年後の2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定している。
法定雇用率は労働市場の状況や経済状況を反映して設定されるため、およそ5年ごとに引き上げられる傾向にある。昨今の障害者の雇用数の上昇に伴い、このまま雇用数が上昇を続ければ、2031年には3.3%、2036年には4.5%まで引き上げられると予想される(※6)。
(※6) 直近の平均伸び率を基にワークリアが算出
今の日本の実雇用率から考えると、4.5%まで引き上げられることは到底想像できないかもしれないが、障害者の割合が全人口の約1割を占めるドイツでは、法定雇用率が5.0%に設定されている。日本の企業も、今のドイツ以上の水準を求められる日は、そう遠い未来ではないのかもしれない。
障害者雇用における対応力を高めるため、今、企業ができることは何か――。
上述のとおり、身体障害者の減少傾向を踏まえると、今後上昇する法定雇用率を達成するために、企業は精神障害者の採用に積極的に取り組む姿勢を持つことが求められるだろう。
一方、企業が精神障害者の積極的な雇用に踏み切るには、採用の見極めが難しいことや配属先からの理解が得られないなど、まだまだ課題が残っている。特に、他の障害種別と比較すると顕著に差があり、企業が最も懸念すると予想されるのは、精神障害者の離職率の高さである。
障害者職業総合センターが2017年に実施した「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、精神障害者の入社1年後の離職率は50.7%(障害者求人では35.8%)と、他の障害種類と比べて極端に高い。2人に1人が1年後に離職しているのが実情だ。
そんな中、レバレジーズが運営する障害者支援サービス「ワークリア」の離職率は、全国平均の半減以上の20.1%を実現している。
ワークリアは、企業の精神・発達障害者の雇用に対する課題や不安を軽減し、「義務」ではなく「前向きな雇用」と捉えてもらえることをめざし、2018年に設立。就業経験がほとんどない障害者を積極的に雇用し、PCスキルやビジネスマナーなどをレクチャーすることからスタートした。
ワークリアは、レバレジーズのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)組織として、現在100人近くの精神・発達障害者を雇用している。レバレジーズグループ内で請け負っている業務は、総務や経理、営業など多岐にわたり、常時160種類を超える。
障害者雇用では仕事がルーティン化しやすく、業務の均一化や受動的な業務姿勢に陥りやすい。その状況を打破するべく、ワークリアは、”個”にフォーカスしたキャリア形成を行っている。例えば、個人の能力を最大限に発揮させることを目指し、自ら仕事を選択できる「Hands UP」制度を導入。その結果、障害者一人一人の適正や希望にあった業務設計を実現している。
ワークリアは、スタッフの9割以上が34歳以下で、平均年齢は27.8歳。今後の成長可能性の高い若年層にフォーカスしている。スタッフの経験社数は1社以下が半数以上を占め、アルバイト経験や就業経験のない人も多く在籍。障害者雇用において特に重視されがちな就労経験を重視しないことで、多くの人材に就労機会を提供している。
障害者雇用率、4月引き上げ 無理な採用が招く危険とは
国会でも問題視 障害者雇用「支援」サービスは、何が問題なのか メリットとデメリットを冷静に整理するCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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