「従来のネットスーパーは、商品を自分の目で確かめられないという不安が、利用に踏み切れないボトルネックとなっていた」(野澤副社長)
これを逆手に取って始めたのが、独自ブランド「鮮度+(プラス)」だ。鮮度のよい商品だけを選ぶ独自の目利き基準を設け、顧客の元に届くまで低温に保つよう管理している。1週間の鮮度保証も付け、顧客が満足できない場合、返金などの対応を取る。
これまではレタスやトマトなど農産物15品目を扱ってきたが、今夏からは生鮮肉も加え、ラインアップは従来の倍の30品目に拡大する。
配達時間は、午前7時から午後11時まで1時間単位で指定可能。最短で当日から14日先までの購入を受け付ける。サービスの開始当初は「本当に1時間指定などできるのか?」といった懐疑的な声が多かったというが、「逆に言えば、1時間指定だからこそ、顧客は自宅にいらっしゃる。不在率は1%未満で、食材のロスは少ない」と野澤副社長は話す。
一方で、非対面受け取りのニーズの高まりに合わせ、今後は置き配指定なども検討を進めるという。
今後の課題は、サービスを収益につなげられるかだ。グリーンビーンズを運営するイオンネクストの2024年2月期の最終損益は106億円の赤字となっている。
野澤副社長は「現在は成長フェーズ。先行投資であると認識している」と話す。一方で「単に実店舗と同じ食料品だけを売っていては限りがある」との認識を示す。
現在、準備を進めるのが、商品販売だけではないサービスの提供だ。同社は今後、救急医療サービスを手掛けるファストドクターと協業。今夏をめどに、グリーンビーンズの会員が急な体調不良になった際、ファストドクターの往診を受けられるようにする。異業種連携を通して、顧客価値を高めていく方針だ。
野澤副社長は「ネットだからこそできることはまだまだある。サービスの中身を変えることで、食を中心としたビジネスも十分黒字化できる」と話している。
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