詐欺によく使われる決済方法 米FTCが調査 結果は……?

» 2024年07月09日 18時01分 公開
[James PothenPayments Dive]
Payments Dive

 米連邦取引委員会(FTC)は5月、消費者が詐欺師に対して支払いを行う際に使用された決済アプリやサービスに関する統計を始めて公開し、その使用頻度を明らかにした。この統計は消費者からの詐欺報告に基づいており、FTCのWebサイトで発表された。

 2023年、連邦取引委員会(FTC)に寄せられた消費者詐欺の苦情では、PayPalやCash Appが詐欺師への支払いに頻繁に使用されるアプリとして挙げられている。

詐欺に多く使用される決済アプリ

 2023年、消費者報告の28%にPayPalが使用され、最も多くの報告が寄せられた。これに続くのがCash Appの24%、Zelleの20%、Venmoの9%、Apple Payの7%である(5月24日の報告による)。

 統計を作成したFTCのシニアデータリサーチャーであるエマ・フレッチャー氏は、詐欺師が使用する最も一般的なギフトカードについても触れている。

(Payments Dive)

 2023年の消費者詐欺報告において、損失額では決済アプリが他の方法(クレジットカードやデビットカードを含む)を上回っている。このカテゴリーにおける個々の損失の中央値は380ドルで、クレジットカードの136ドルやデビットカードの110ドルを上回っていると報告されている。

 クレジットカードは詐欺師への支払いで最も多く使用されており、2023年には約11万4000件の苦情がFTCに寄せられた。次いでデビットカードが約8万3000件、決済アプリやサービスが約6万5000件となっている(FTCの公開データによる)。

 FTCのデータによると、クレジットカードは2020年以降、詐欺師への支払いで最も報告された方法である。その年は新型コロナウイルスの感染拡大と重なり、消費者が電子商取引の支払いをより頻繁に行うようになった。デビットカードと決済アプリは第二の一般的な方法として競り合っていたが、2022年にはデビットカードが決定的にリードしている(FTCデータによる)。

 フレッチャー氏は、消費者が詐欺師にクレジットカード、デビットカード、決済アプリで支払いを行う場合、それは「ほとんどがオンラインショッピング詐欺の支払いである」と述べている。この種の詐欺は、消費者が広告をクリックし、商品が届かない偽のWebサイトで購入することを伴うと説明している。

 フレッチャー氏は、カードや決済アプリが詐欺師に支払いを行うために最も報告された方法である一方で、銀行振込や暗号通貨は2024年の第1四半期に消費者から報告された総損失額で大幅に上回っていると述べている。これは2023年の傾向を反映している。

 「詐欺の兆候となる支払い方法がいくつかあります。誰かが店に行ってギフトカードを購入し、その背面の番号を読み上げるように求める場合、それは詐欺です」とフレッチャー氏は述べている。「また、暗号通貨を購入するか現金を引き出し、それをビットコインATMに入れるよう指示される場合も詐欺の兆候です」

 米国では支払い詐欺が増加。FTCは2月に、2023年の詐欺損失が100億ドルを超え、前年比14%増加したと報告している。

 声明の中で、Zelleの所有者であるEarly Warning Servicesは、サービス上の取引の「0.1%未満」の詐欺報告を受けていると述べている。「2023年6月30日現在、参加金融機関全てに対し、特定の詐欺に対する消費者の返金を義務付けるネットワーク運営ルールを拡大しました」と声明を発表している。

 フレッチャー氏は、なぜFTCがこれまでどの決済アプリが詐欺師に最も多く使用されているかに関するデータを公開しなかったのか、また将来的にそのようなデータを公開するかどうかについてコメントを控えている。

 PayPal、Cash App、Venmo、Apple Payの広報担当者は、FTCの報告に取り上げられていることについての質問にすぐには回答しなかった。

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