なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきたスピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2024年07月17日 05時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「並盛430円」のスゴさ

 ご存じのように、すき家をはじめとした日本の牛丼チェーンは、世界的な牛肉の需給不足により価格高騰に加えて、企業の社会的責任から「賃上げ」も加速していかなければいけない。その流れの中で、いまだに「並盛430円」という常軌を逸した「安さ」をキープしている。

 これは普通に考えたらスゴいことだ。あらゆる無駄な作業、余分なコストを削って効率化を極めないと達成できない。

 そんな牛丼チェーン各社が「まだここが削れたか」と手を付け始めているのが「食器洗い」である。

 牛丼屋でバイトをした経験がある人ならば分かるが、食器洗いはかなりの重労働だ。ただ食器洗い機にぶち込めばいいというものではなく、丼に米がこびりつくので「浸漬槽」に浸すなど「工程」が多いのだ。こういう重労働に従業員の時間と体力が奪われるのは、経営的にも効率が悪いということで各社が試行錯誤を続けているのだ。

食洗機に入れる前に食器を1枚1枚浸漬層に浸して汚れ取る(出典:プレスリリース、以下同)

 例えば吉野屋は2024年3月、ロボットベンチャーの「FingerVision」(フィンガービジョン、東京都江東区)と食器洗浄ロボットを共同開発して、国内約1200店舗で導入していくと発表した。もちろん、これは現場の負担軽減が目的だ。

汚れた水の中から多種多様な種類の汚れた食器を取り出し、ラックに乗せるロボット

 一方、「客の善意」で従業員の負担軽減を目指すのは松屋だ。こちらでは最近、客が食べ終わった食器を返却口まで運ぶ時、食器やコップ、箸、食べ残しなどの細かい「仕分け」をする形態の店舗がある。要するに、社食のようなスタイルなのだ。

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