このように各社が「食器」にまつわる現場の負担軽減を検討している中で、すき家の場合は「使い捨て容器」だったというわけだ。
確かにエコの観点からは時代に逆行する取り組みではあるが、従業員は浸漬槽に食器を浸す工程もないし、食器を食洗機に並べなくてもよいし、洗い残しがないかを目視する必要もない。その作業がごそっと消えた分、調理や商品の提供にリソースを集中できる。
こうした「安さ」と「現場負担軽減」を両立した取り組みに、企業側がどれだけ知恵を絞っているのかを少しでも理解すれば、プラ容器に盛られた牛丼を見てもそう簡単に「餌かよ」「味気ない」なんて文句は出てこないのではないか。
食器を下げて、残飯を捨てることも、その食器を浸漬槽に浸けることも、それを取り出して食洗機に並べることも全て労働者が行う。当たり前だが、そこには全て賃金が発生する。日本人はサービスを水と同じように「タダ」だと思っているが、「きれいな食器」を客に出すのもそれなりのコストがかかっているのだ。
そして、このように低賃金で重労働をしてくれる労働者のおかげで、われわれは「世界一安くて品質の良い牛丼」を気軽に食べられるというわけだ。
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