マスク氏はビジネスに、常に自身の理想とする世界観を反映させている。どのビジネスにも社会を変えたいという動機が裏に見え、それを実現させようとしているのが分かる。
そしてそれらを実現に近付けるには、民間企業としての活動だけでは限界がある。時の政策によって横やりが入ることもあれば、考え方の合わないリーダーが政府を率いると、自分の活動が制限されたり足かせができたりもすることもあるだろう。
全面的な支援を決めた現在のマスク氏は、トランプ政権に乗って未来を築くと腹を決めたのだろう。今回の大金投入については、無謀なロケット開発をギリギリ成功させたり、非難ごうごうの中でTwitterを買収したりと、物議を醸してきたこれまでの「大勝負」と同じにおいがする。
今回の米大統領選では、引き続きマスク氏の動向を注視したい。
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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マスク氏から「世界1位の大富豪」の座を奪った、アルノー氏とは何者なのか?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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