まずEVについて見ていきたい。現在米国では、EVを購入すると最大で7500ドル(約115万円)の税額控除が受けられる。米政府は地球温暖化対策として、EV普及のために補助金を出しているわけだが、トランプ前大統領は地球温暖化に懐疑的だと知られる。そして自分が大統領に返り咲いたら、「EV普及の義務を大統領就任の初日に終了させる。それによって米国の自動車産業を消滅から救い、米国の消費者のために自動車1台当たり数千ドル節約する」と、7月に行われた共和党の全国大会で大々的に宣言している。
EV大手テスラを経営しているマスク氏にしてみれば、トランプ氏が大統領になれば、EVの補助金が削られ、会社の売り上げが減少するかもしれない――。にもかかわらず、トランプ大統領誕生のために全面支援するというのはどういうことか。
それには理由がある。というのも、テスラのEVは以前ほどの勢いはないが、それでも米国では一人勝ちの状況が続いている。充電ステーションも各地に設置されており、実は今後、EV補助金が続けられたとしても、すでに人気であるテスラから見れば、補助金はライバル企業を利するだけに過ぎない。テスラは車両価格や製造コストの点で競争力が高いという自負もあり、今後さらにコストを削減して車両価格を下げる計画で動いている。
事実、マスク氏は以前、「7500ドルの補助金は必要ない」「しょせんはゼネラル・モーターズがロビー活動をして補助金を作っただけ」と語っている。さらに充電ステーションへの助成金などもいらないと主張している。
つまり環境問題懐疑派のトランプ氏に乗っても、EVへの影響はそれほどないと見ている可能性がある。
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