廣末氏は、ビットコイン現物ETFの実現に向けて主要な課題として以下の点を挙げた。
第一に、税制の問題だ。現状では、現物ビットコインとETFの税率に大きな差が生じる可能性がある。「現物ビットコインが総合課税で最大55%の税率なのに対し、ETFが分離課税で20%になると、大きな差が出てしまう」と廣末氏は懸念する。
第二に、適切なベンチマークの不在だ。「日本円建てのビットコインインデックスは現時点で存在していない」と廣末氏は指摘する。ETFの運用には信頼できるベンチマークが不可欠だが、それが整備されていないことが大きな障壁だ。
第三に、カストディ(保管管理)の問題がある。「大量のビットコインを保管管理し、売買実行できるインフラの整備が必要」だと廣末氏は述べる。何度も流出事故を繰り返してきた業界だけに、カストディの問題がクリアできなければ、ETFならば安心というわけにはいかない。セキュリティと運用の効率性を両立させる体制の構築が求められている。
法制度上の課題もある。現行の投資信託法では、ビットコインを含む暗号資産は投資信託の運用対象である「特定資産」から除外されている。このため、法改正なしにはビットコイン現物ETFの組成が困難な状況だ。
加えて、金融庁の姿勢も課題の1つだ。金融庁は2019年に、暗号資産を投資対象に含む投資信託の組成、販売を事実上禁止している。「投機を助長しているとの指摘」がその理由だという。
金融庁は、2019年12月の監督指針改正において、暗号資産を投資対象に含む投資信託のの組成、販売を事実上禁止している(金融庁 「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について)
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