スノーピークは株主に配慮していたのか MBO発表と上場廃止のタイミングに「疑問」あり(4/7 ページ)

» 2024年08月13日 08時00分 公開
[草刈貴弘ITmedia]

2023年、強気の姿勢に変化が見られた

 こうした強気な姿勢に変化が見られたのが2023年でした。2023年については四半期ごとに振り返ってみたいと思います。

 2023年第1四半期決算は、円安による原価率の上昇などもあり、売上高は減少し営業利益率も低下しました。ただ、このタイミングでは「厳しいもののまだ何とかなるだろう」という姿勢が見え、スノーピーク側が売上予想を引き下げることはしていませんでした。

「2023年12月期 第1四半期決算説明資料」より

 この姿勢に明らかな変化が起きたのが第2四半期の決算発表です。第1四半期と第2四半期の合算結果が非常に悪く、下方修正せざるを得なくなりました。「アウトドア需要を見誤った」「在庫過多になったため仕入れを抑制していく」として業績予想の下方修正を行いました。それと同時に新たな打ち手として、新商品の早期発売などを発表し、新規顧客の取り込みを狙う姿勢を示しました。

「2023年12月期 第2四半期決算説明資料」より

 しかし残念ながら、第3四半期で売上高はさらに低迷しました。第1四半期から第3四半期の合算で、売上高の達成率は7割ほど。キャンプ用品は春と夏に売れる傾向にあるため、下方修正したもののその目標にさえ届かないことがほぼ確実となりました。

 2023年の通期決算の内容は非常に悪いものでした。売上高は2021年と同水準に戻ったものの、営業利益率が明らかに落ちていました。そして業績が回復する「2024年の業績予想」を発表し、その5日後の夕方、意見表明報告書を出してMBOをすることが公表されました。

「2023年12月期 期末決算説明資料」より

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