アニメ活用が進んでいる背景としては、大きくわけて2つある。1つは「アニメ特有のメリット」、もう1つは「アニメの地位向上」である。
アニメ特有のメリットとして、俳優やタレントを活用する実写での撮影と比べてコストを抑えられること、出演者の不祥事で放送・配信が不可となるリスクを軽減できることなどがある。
加えて近年の技術進歩により、アニメ制作の現場にデジタルツールが浸透したことも、コスト・効率の両面から参入ハードルを下げている。
2つ目の「アニメの地位向上」については、2000年代までアニメは子どもが見るもの、もしくは一部のサブカル好きが見るものとして扱われてきた。この状況が2010年代に入り変わってきている。
これには複数の要因が考えられる。1980〜90年代に幼少期を過ごした世代にとって、少年ジャンプをはじめとした漫画原作アニメが娯楽の中心になっていたことと、それまで娯楽の中心だったスポーツが視聴率低下とともに地上波での放送が減少し、存在感を弱めたことなどが挙げられる。
同時期に、世界で日本アニメのプレゼンスが向上したことも影響していると考えられる。リオデジャネイロ五輪閉会式にて、アニメキャラクターが多数出演する映像や当時の安倍首相がマリオに扮するパフォーマンスが好評を博したように、日本はアニメや漫画の国として世界中からポジティブなイメージを持たれている。このイメージもまた、企業のブランディング戦略としてアニメ活用が進んだ要因だろう。
冒頭で紹介したヤンマーの海外売上高比率は60%であり、当然世界市場における認知度向上、ブランドイメージ向上は必須となる。そこで、同社はアニメ活用に目を付けたのだろう。特にヤンマーはCMではなく、全5話のストーリー性のあるアニメ作品を計画しており、アニメ活用への本気度がうかがえる。
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