リニューアルの手応えをつかんでいる一方で、見えてきた課題もあるという。一つは、館内を維持するのが“ハイカロリー”であることだ。
「常時、IPとコラボした展示やカフェの運営、オリジナルグッズの製作・販売を行うのは、例えるなら365日コンサートをしているような状態。一般流通しているパッケージを販売するのとは、消費するカロリーが全く違います。より効率よく運用できるようノウハウをためているところです」(鎌田氏)
これまでに実施した企画は軒並み好評で、「コラボしたい」というオファーも多いという。現状、2025年3月頃までは企画の見通しが立っているそうだ。効率化するには、とにかく成功事例を増やし、それをフォーマット化していくしかないと鎌田氏は話した。
また、3〜4階のシェアラウンジでも難しさが見えてきている。CCCが運営する国内33店舗のシェアラウンジのうち、SHIBUYA TSUTAYAは旗艦店であり、売り上げもトップクラスだ。ただ、見込み客である訪日外国人にとってはサービス形態になじみがなく、敬遠されることが少なくない。この層を取り込めれば、さらなる売り上げ増が見込めるという。
「『使用時間に応じた従量課金制シェアラウンジ』というサービス形態に戸惑う方が多かったので、現在はまず『カフェ』だと伝えたうえで、訪日外国人にとって分かりやすいサービス形態の説明を模索しています」(CCC SHARE LOUNGE事業企画部 部長 渡邉 匠氏)
リニューアル直後、訪日外国人は2階のスターバックスを訪れる人ばかりで、そもそも3階には上がってこない状況だった。だが、「シェアラウンジ」から「カフェ」という伝え方に変更し、1階でチラシを配るなどを実施したところ、1日に70人ほどだった訪日外国人の来客数が7月には約150人に増えているという。
5階のポケモンカードラウンジでも、シェアラウンジ同様の難しさがある。多くの訪日外国人が興味を持って同フロアを訪れるものの遊び方が分からず、利用を見送るケースがあった。そこで多言語対応をしたり、1人で訪れた人も対戦できるようにしたりして、集客につなげているそうだ。
CCCにとって新たな試みとなるSHIBUYA TSUTAYAだが、トライアンドエラーを重ねるなかでいくつも成功事例が生まれている。世界中のコンテンツを日本からグローバルへ発信できる場所として、いずれはニューヨークのタイムズスクエアを超えるぐらいに成長させたいと鎌田氏は意気込みを語った。生まれ変わったSHIBUYA TSUTAYAの動向に、引き続き注目が集まりそうだ。
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