能力では相対的に劣ったとしても、従順でさえあれば評価されることはあり得ます。採用された時点で、社員たちは一定以上の優秀性が認められた人材です。また、個人の能力の高低は組織力である程度カバーできます。
むしろ、個人の能力に左右される度合いが高い組織は不安定な面もあり、組織としての成果を最大化させるためには統制が必要になります。統制をとる上で、時に理不尽と感じることがあったとしても指示通り実行してくれるような従順性を持つ社員は貴重です。特段優秀に見えないのに、なぜか重用される人材がいる背景には、そんな事情が見え隠れすることがあります。
ただ、社員に従順性を求めすぎてしまうと、組織を蝕(むしば)む元凶にもなり得ます。黒いものでも白と言わなければならないほど強圧的マネジメントで統制をとっているような組織は、従順性至上主義になりがちです。すると、不正行為などが発覚しても、社員は正すどころか指示に従い続け、隠蔽に加担したりします。
そんな従順性至上主義の会社では、公正な評価も行われづらくなります。表面的には成果や能力を重視しているように見えたとしても、いわゆる“鉛筆ナメナメ”で、幹部が集まる評価会議などの場で主観的な修正が加えられるようなことになりがちです。
また、従順性至上主義の会社では「上司の指示には絶対服従」「残業や休日出勤を厭(いと)わない」「どんな仕事も引き受ける」――といった振る舞いが評価される傾向にあります。それは、会社の意思で社員をコントロールしようとする他律型マネジメントに適したスタンスです。
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