“閉店ドミノ”の「ドミノ・ピザ」が、さらに「苦戦」しそうなワケ：スピン経済の歩き方（2/7 ページ）

[窪田順生，ITmedia]

コロナ禍で「攻め過ぎた」

　ドミノ・ピザを運営するオーストラリアのドミノ・ピザ・エンタープライゼスが7月17日、不採算店舗の整理するため、日本市場で最大80店舗を閉鎖すると発表したのである。

　なぜ整理しなければいけないほど不採算店舗が増えたのかというと、「攻め過ぎた」からだ。実はドミノ・ピザは2020年度以降の3年間、403店も出店している。

　ドミノ・ピザ・エンタープライゼスの資料によれば、日本の総店舗数は1017店（7月時点）で、オーストラリア国内の750店を軽く抜き去っている。いかに異常なハイペースで出店していたのかがうかがえる。

ドミノ・ピザ・エンタープライゼスの資料（出典：同社プレスリリース）

　なぜこの3年間にこのような「異常」がまかり通ったのか。勘のいい方はお分かりだろう。そう、コロナ禍のフードデリバリー特需だ。

　忘れている人も多いだろうが、この時代のビジネス記事を読み返すと「フードデリバリー市場が活況！」「中食産業が急成長」なんて景気のいい話が並んでいる。それまで日本は欧米ほどフードデリバリーが普及していなかった。それは裏を返せば、「大きな伸び代がある」ということなので、外資系企業がこぞってこの分野に参入したというワケだ。

ドミノ・ピザの店舗数推移（出典：1000店舗達成時の報道陣向け配布資料より）

　ドミノ・ピザも然りだ。「フードデリバリーという文化が広まってきた今が攻め時」と言わんばかりに、これまでだったら採算が取れないような地域に積極的に出店。あれよあれよと2021年に800店舗を超え、ピザチェーンとして初めて全国47都道府県を制覇すると、翌2022年には900店舗、2023年には1000店舗を突破した。