“閉店ドミノ”の「ドミノ・ピザ」が、さらに「苦戦」しそうなワケスピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2024年08月28日 05時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「宅配ピザ店」の倒産件数は過去最多というデータも

 実際、バブルの反動も出ている。2023年12月に東京商工リサーチが発表したところによれば、同年1〜11月の「宅配ピザ店」の倒産は13件だった。これは集計を開始した2009年以降、最多だった年間6件を大きく超えて「過去最多」だったという。

宅配ピザ店の倒産推移(出典:東京商工リサーチ)

 このような「バブルの反動」に加えて、もっと本質的なことを言えば、「消費者の半分が50歳以上」になり、この比率がさらに進んでいく日本では、米国のように「ピザ=国民食」というポジションを確立するのが、なかなか難しいような気もしている。

 日本冷凍食品協会のデータによれば、ドミノ・ピザが出店攻勢をかけている最中、2022年の冷凍ピザの生産量は7570トンである。冷凍食品の王者、ギョーザは10万2348トン、中華まんじゅうは1万3373トンという数字を見ると、ピザはまだ国民食とは言い難い。しかも、ドミノ・ピザが1000店舗を達成した2023年には6881トンと減少してしまっているのだ。

冷凍食品の品目別国内生産量(出典:日本冷凍食品協会)

 こういうデータを見ていると、ドミノ・ピザもセブンピザも残念ながら前途洋々とは言い難い。しかも、セブンはまだ宅配サービスを普及させるためのフックの一つくらいにしか考えていないが、ドミノ・ピザの場合、「ピザ1本足打法」だ。「若年層の減少」は死活問題である。

 いずれにせよ、2023年の1000店舗から倍の2000店舗に増やすためには、これから日本の内需を支えていく「50歳以上のシニア・高齢者」が、こぞって注文をするようなピザが求められる。

 これまでは若者や女性の利用者が多いと言われてきた「宅配ピザ」に、新たな価値を提示することができるのか。ドミノ・ピザの巻き返しに期待したい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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