不動産DXに欠かせない、画像認識AIの絶大な効果とは?不動産DXのいまを知る(1/3 ページ)

» 2024年09月05日 07時00分 公開

連載:不動産DXのいまを知る

不動産業界のDX推進において活用するAI技術や先端技術との親和性、活用方法やその効果、将来性などについて、アットホームラボ代表取締役社長の大武義隆氏が解説する。

 不動産業界では、業務効率化や消費者体験の向上を目指してAI技術の活用が進んでいます。今回取り上げる画像認識AIもその一つです。

 不動産会社が不動産ポータルサイト上に物件画像を公開する場合、大量の画像を一括で登録するケースが多く見られます。しかし、一括で画像登録をすると、公開に適さない画像が紛れていることがあり、その画像は非表示や削除対応が必要になります。画像の確認や加工処理を人間が目検で行う場合、膨大な時間がかかりますが、アットホームでは画像認識AIを活用しながら、画像チェックの業務効率化に役立てています。今回は、その事例をもとに不動産DXにつながる内容について解説します。

画像認識AIが不動産DXに及ぼす効果とは? 写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:大武 義隆(おおたけ・よしたか)

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アットホームラボ株式会社 代表取締役社長

アットホームに入社後、営業職・企画職などに従事。

2019年5月にアットホームのAI開発・データ分析部門より独立発足したアットホームラボにて、テクノロジー部門を統括し、不動産分野の課題解決に適したさまざまなAIモデルの企画を担当。23年4月より代表取締役社長に就任。


画像認識AIとは

 まず、画像認識AIについて詳しく見ていきましょう。

 画像認識AIとは、画像内の物体、文字、特徴を自動的に識別・判別する技術です。近年、この技術の精度が飛躍的に向上し、さまざまな産業分野で活用が広がっています。

 例えば、セキュリティ分野では顔認証技術が注目を集めています。スマートフォンのロック解除やオフィスの入退室管理によく使用され、カメラで撮影した画像から顔を検出し、目・鼻・口などの特徴を分析して個人を特定します。

 医療分野では、X線やMRIなどの医療画像を解析し、病変の検出や診断の補助ツールとして医師をサポートしています。これにより、早期発見や診断精度の向上に貢献しています。自動車産業でも自動運転技術において、道路標識の認識や歩行者検出、車線認識などに活用され、安全性の向上に寄与しています。

 そのほか、小売業では画像認識AIを用いた商品認識システムが導入されていたり、農業分野ではドローンで撮影した画像を分析し、作物の生育状況や病害虫の発生を早期に発見したりするのに役立っており、さまざまな分野で活用されています。さらに、SNSやフォトアプリでは、画像認識AIが写真の自動タグ付けや分類に使用されており、ユーザー体験の向上に貢献しています。

 このように画像認識AIの進歩により、人間の作業を効率化し、より正確な判断を支援できるようになっています。技術の発展とともに、今後さらに多くの分野での革新的な活用が期待されています。

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