「人的資本経営」に対する注目が年々高まっている。2023年3月期から、有価証券報告書において人的資本情報の開示が義務化された。人的資本経営の中でも、社員のスキル・能力開発は重要な要素だが、企業によって取り組みが進まないケースも多い。人事担当者は人材育成業務において、どのような悩みを抱えているのか。ビジネススクールを運営するグロービス(東京都千代田区)が調査した。
人材育成に関する業務上の課題について、1位は「中長期的な育成戦略」で35%に上った。2位は「データの分析」(19.8%)、3位は「短期的な育成戦略」(16.6%)だった。その他「人材データの一元管理」「データの収集」といった回答が上位に挙がり、「戦略」「データ活用」に関する内容が課題になっている状況が明らかになった。
課題に対する検討状況について、74.4%が「検討をしている」とした一方、25.6%が「検討したことがない」と答えた。
解決を検討したことがない理由は「現行の業務負荷が高く、人材育成に十分な時間を割くことが難しいため」が最も多く34.3%に上った。「人材育成に関する専門知識やスキルが不足しており、取り組みが難しいため」(28.7%)、「人材育成の成果や効果を測定する手段が不足しており、評価が難しいため」(25.9%)といった回答が上位に挙がった。
役職別で見ると「人事育成上の課題解決を検討したことがない」という回答が最も多い層は「課長・係長・主任」で31.5%に上った。
検討したことがない理由について「課長・係長・主任」層の中で特に多かった回答は「現行の業務負荷が高く、人材育成に十分な時間を割くことが難しいため」で、全体よりも5.4ポイント高い結果となった。
調査は3月19〜25日にインターネットで実施。従業員規模が300人以上の企業に所属し、人材育成業務に携わる担当者を対象とした。調査人数は500人。
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