小田急「ロマンスカー新型車両」が登場へ これまでの“常識”を飛び越えられるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

» 2024年09月14日 09時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

“代替”される30000形ロマンスカー「EXE」は異端児だった

 1996年に登場した30000形ロマンスカー「EXE」は、小田急電鉄にとって転機となる車両だった。なぜなら、ロマンスカーの特徴である「展望座席」を持たなかったからだ。

 1963年に登場した3100形ロマンスカー「NSE」以来、1980年に登場した7000形ロマンスカー「LSE」、1987年に登場した10000形ロマンスカー「HiSE」も先頭車に展望席がある。先頭車両の運転席を2階に上げて、1階の眺望を確保する。ロマンスカーといえば誰もが思い浮かべる仕掛けだ。

 1991年に登場した20000形ロマンスカー「RSE」は、運転席を1階に置いたけれど、逆に客席をハイデッキ構造とした。運転席越しに前方、あるいは後方の眺望を楽しめた。さらに中間車の一部を2階建て構造として車窓を楽しむ工夫をした。

 ロマンスカーといえば展望席。それが「EXE」にはない。これには賛否両論があるが、鉄道ファンから特に嫌われた。鉄道趣味団体の「鉄道友の会」が投票で選ぶ「ブルーリボン賞」も「ローレル賞」も与えられなかった。ほかに特筆すべき車両があるわけではなく、この年のブルーリボン賞は「該当なし」だった。

 しかし、実用面は評価されて「グッドデザイン賞」に選ばれている。

30000形ロマンスカー「EXE」(筆者撮影)

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