自治体の個別計画の構造は、WHY-WHAT-HOWの順番で詳細化されることが一般的です。
自治体のDX推進計画の中には、WHATやHOWなどの「やりたいこと」ばかりが列記されて、その手前にある「なぜやるのか」が明らかになってないものも散見されます。こういう計画の場合、絶対に失敗しないという前提で取り組んでいるので、いざ「やりたいこと」の目論見が外れると、軌道修正も方針転換もできません。
したがって、計画の中でWHYを定義し、関係者全員で合意しておく必要があります。この合意されたWHYのことを「ビジョン」といいます。
現在の計画の中にビジョンが示されているのならば、改めてその内容は確認しておきましょう。その際、ビジョンの形式は「私たちは◯◯において、◯◯が◯◯のようになっていたい」という「状態」であることが必要です。ここで「◯◯する」というように、やること(WHAT、HOW)が書かれていると、計画の遂行に支障をきたします。
ChatGPTに現在のDX推進計画をドラッグ&ドロップして読み込ませます。その後、次のプロンプトにより、指示を出します。同じような作業を繰り返すのであれば、GPTsを使って専用のAIを作ってもよいでしょう。
# 指示
- アップロードしたファイルは、私たちの自治体のDX推進計画です。
- この計画の文面を参照して、私たちが2029年までに実現させたい「ビジョン」を抽出してください。
- 抽出する際は、次の「分類項目」に分類して、それぞれ抽出してください。同じ内容がそれぞれの分類項目に記載しても大丈夫です。
# 分類項目
- 市民のためのビジョン
- 市民にとってデジタル技術の恩恵を受けている状態を場面ごとに列記する。
- 職員のためのビジョン
- 自治体職員にとってデジタル技術の恩恵を受けている状態を場面ごとに列記する。
# 注意点
- 「ビジョン」は私たちが目指すべき「状態」を示したものです。取り組むべき事項を記載しないてください。
- したがって、ビジョンの語尾は常に「◯◯になっていたい」「〇〇できている状態」となります。
- 「分類項目」の主語は、「市民」「職員」のいずれかとなります。
- もし、分からないことや確認したいことがある場合は、質問してください。
ある自治体のDX推進計画を読み込ませて、整理させたのが次の画面です。
ビジョンは抽象度が高いほうが大勢の人の理解を得やすいので、この内容をもとに改めて関係者(職員、市民)に対して、ビジョンがふさわしいかの意見照会を行うようにすれば、最初のボタンの掛け違いを防ぐことができます。
次回は生成AIを使ったDX推進計画の見直しの続きと、生成AIによる画像生成における配慮について一緒に考えてみましょう。
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