琉球列島の最南端、八重山諸島に属し、9つの有人島と7つの無人島からなる沖縄県竹富町。人口は約4300人。NHKの朝ドラ「ちゅらさん」の舞台になった小浜島や、世界自然遺産にも登録された西表島など、豊かな自然や独自の文化が多くの人を魅了する。
そんな竹富町はいま、島しょ自治体が抱える不便をテクノロジーで解消しようと、DXに注力している。これまでは、5分で終わる町職員の業務が、離島へのフェリー移動を伴う出張となれば半日かかることもあった。町民にとっても、行政サービスを受けるために船で庁舎まで足を運ぶのは一苦労だ。
こうした課題を、同町はいかにして解決しようとしているのか。
沖縄県在住のフリーランス記者。音楽・エンタメから政治経済まで幅広く取材。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで2年間世界一周。その後、琉球新報に4年間在籍。
2018年、北京に語学留学。同年から個人事務所「XY STUDIO」代表。記者業の他にTVディレクターとしても活動。
著書に『沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!』(編集工房東洋企画)がある。
竹富町は西表島・竹富島・小浜島・黒島・波照間島・鳩間島・新城島・加屋真島・由布島9つの有人島からなる。しかし、これらの島々間は基本的に直接の行き来ができずに、隣接する石垣島(石垣市)を起点とする航路を利用することとなる。
こうした背景から、竹富町役場の庁舎は石垣市内に位置しており、町域外に庁舎があるという全国でもかなり珍しい例だ。
それゆえ「町内移動」の在り方も特殊だ。
「ちょっと隣の島まで」が、港に行って乗船時間まで待ち、フェリーに揺られて石垣島へ寄り、また乗船時間まで待って再度目的地までのフェリーに揺られることとなる。ここまでが片道だ。役場の出張所は西表島に2カ所、波照間島に1カ所あるが、その他の地域には石垣島の庁舎から出向く場合も多い。
DX課の久保田悠人さんは「例えば(航路の比較的多い)石垣島と竹富島の便でも1時間に1本しかありません。もし5分で終わるような業務でも、半日作業になるんですよね」と説明する。
港での待ち時間や船内での移動時間を業務に活用したいところだが、住民の個人情報などを多く扱う行政のネットワークシステムはセキュリティが固く、庁舎外からのメール送信すら難しい実情がある。移動時間を移動にしか使えない、という困りごとは付き物だった。
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