こうした問題を解決しようと、同町は2024年6月、法人向けクラウドデータ管理ツールを開発するAvePoint Japan(東京都品川区)が提供するノーコードツール「AvePoint Portal Manager」を業務に導入した。
同町は「Microsoft 365」を業務ツールとして使用するにあたり、その機能を補完するという面で「AvePoint Portal Manager」の導入を決めた。
これにより、庁舎外からでも職員同士のやり取りがスムーズになったり、会議室や公用車の予約ができたりするようになった。部分的とはいえ、各島への移動時の業務が可能となり、出張が多い職員の場合だと年間300〜400時間も業務時間を生み出せるようになったという。
町域内での離島間移動で行政業務に不便が生じるのと同様に、町民が行政サービスを受ける際にも不便が生じることがある。その不便をDXで埋めようとするのが、同町のDX推進計画「Digitalわくわく竹富町」でうたっている施策「スマホの中にも町役場」だ。
住んでいる島から出かけなくても、島民が行政サービスの一部を受けることができるもので、「島しょ自治体」と「オンライン」の相性の良さを存分に生かした格好だ。人口約4300人に対して約3700人が活用しているという。
2024年3月からは、町のWebサイトなどから予約することで、ビデオ通話によって窓口に来たのと同様のサービスを受けられるようになった。行政相談や保険料納付についての相談の他、移住定住についての相談もすることができ、町外からの応対も想定している。特定のビデオ会議ツールをインストールせずに会話が可能だ。
特筆すべきは、前述のように多くの人が活用している町公式LINEアカウントだ。ビデオ通話相談の予約、町の施設予約、予防接種予約、住民票の申請、税証明書の申請など、あらゆるサービスがLINE上で完結するようになっている。各島発着のフェリーの運航状況も手軽にチェックできる。9島の有人島がある特性から、島やエリアごとの情報の受け取り設定もできる。
公式LINEの運用自体は2020年に始まったが、2023年8月に機能を拡充させた。
久保田さんは「離島の不便をデジタルの力で解消して、子どもからお年寄りまで恩恵を受けられるようになったら、一つの成果だと思う」と話す。同じくDX課の古見勇樹さんは「住民の方だけではなく、町外に住んでいる家族の方の利用も多い」と話す。
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