コストパフォーマンスが高いとはいえ、10万円を超えるゲームハードが多くの家庭に普及するとは考えにくい。では今後、他のエンターテインメントがたどったのと同じようにゲームも“高級化”し、娯楽の主流ではなくなっていくのだろうか? これを考察するために、特に大きな影響を及ぼすであろう2つの要素について考えてみたい。
グラフィック性能は、PS5 Proの価格が上昇した最大の理由の一つだ。また、ゲームへの投資を惜しまないコア層ほど要求レベルが高い。
ゲームが表現する世界観・雰囲気を体感するためにはより美しいグラフィックス、より複雑な演算が必要だ。そして、ゲームによる対戦・競技の成績を突き詰めるには、やはりより高いフレームレートや、高速かつ正確なレスポンスが必要となる。これらの要求に応えるには必然的に高性能なハードウェアが必要となる。
一方、市場の大部分を占めるライト層全てが上記の性能を要求するわけではない。また、「ユーザー人口の多いゲーム=高スペックを要求する」とも限らない。一般の民家に収まるディスプレイサイズではフルHDと4Kの差異を感じられたとしても、4Kから8Kへの変化に劇的な差異を感じることは難しいとされる。
つまり、解像度という観点では4Kが家庭用ゲームハードにおいて実質頭打ちといえる。画像処理コストに大きな影響を及ぼすこの要素が固定されれば、今後の技術進歩で価格が下がることも期待できる。
昨今のゲームはマルチプラットフォーム(同じゲームを異なるハードウェアで遊べるようにすること)が主流となりつつある。
2010年代以降増加したのが、「PlayStationシリーズ+PC・スマートフォン」という組み合わせだ。特に米国・中国系ゲームはグローバル展開を前提としており、国によって普及度合いに差があるハードウェアに依存しないためにもこの手法を取っている。
そのため、ユーザーは同じタイトルのゲームを個々人が調達可能なスペックのハードウェアで楽しめるようになった。
これにより、持っているゲーム機で遊べるソフトの中から選ぶ環境から、ゲームで得たい体験によってゲーム機を選ぶようになりつつある。これはどういうことかというと、例えばスマートフォンを入口に目的のゲームを楽しむようになり、スマートフォンで満足する層はそのままに、もっと高品質なゲーム体験を楽しみたい層はPlayStationシリーズやPCへ移行するというわけだ。
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