このエイジズムを解消するために、デザイナーが生まれた。「傾聴と対話を重視」するというが、どういった仕事なのか。
具体的には、シニア宅の訪問でスマートフォンの使い方や新しい趣味の提案を行うほか、地域や自治体と共同で年間500回以上のイベントを企画・運営している。各種研修をクリアし、正式に認定されているデザイナーは現在130人に上る。(2024年7月末時点)
なお、要介護認定を受けている人も既存のケアサービスと併用して利用可能だ。自立した生活の維持だけでなく、より豊かな人生をデザインすることを目指している。
デザイナーとして働くスタッフの約8割がZ世代だ。若者から人気を集める要因として、赤木氏は価値観との高い親和性を挙げる。「自分らしさの追求と社会貢献への意識が、Z世代の就労観の特徴であり、この両面を満たす職業として認識されている」
デイケアなどのケア職が日常生活の基本的なサポート(睡眠・食事・入浴・排泄など)を中心とするのに対し、デザイナーはより自由な発想で関わっている。世代間交流を通じて成長を実感したり、シニアの人生に寄り添いながら創造的な提案ができたり、そうした点が魅力となっているようだ。
さらに、偏見や差別などに強い問題意識を持っている点もZ世代の特徴といえる。「高齢者」として単に支援の対象とするのではなく、豊かな経験と知識を持つ個人として再評価する姿勢が、世代間の相互理解を深めているという。
「デザイナーとしてのレベルアップに伴い、コミュニケーション能力が向上する。就職活動やプライベートにも好影響があり、仕事のモチベーションになっている」と赤木氏は語る。デザイナーの経験が、若者たちの成長と自信につながっているようだ。
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