デザイナーの介入により、シニアの生活にも顕著な変化が見られる。例えば、同居していた姉を亡くし塞ぎ込んでいた80代の女性は、デザイナーからの働きかけでピアノを再開しセッションを楽しむようになっただけでなく、担当デザイナーの結婚式に自分の足で参列することが新たな目標となり、外出頻度が増加したという。
この事例は、シニアの行動変容を促し、健康寿命の延長に貢献した好例といえる。
ある若手スタッフは、自身のことを「カウンセラーではなく、あくまでもデザイナー」と表現する。話を聞くだけでなく、シニアの人生をより豊かにするための具体的な提案と実践をサポートし、行動変容に伴走することが重要であるという考えだ。
この姿勢は、シニアとの信頼関係だけでなく、周囲の家族からも感謝の言葉を受け取る機会を増やしているという。
また、ポジティブなシニアを増やしていることは、介護・看護分野にも波及効果をもたらしている。「デザイナーの資格を持つ介護士や看護師たちから、『介護や看護の仕事を志した原点を思い出した』という声を多く聞く」と赤木氏は語る。介護施設向けの研修事業も展開し、離職防止にも一役買っているという。
事例が示すように、デザイナーの取り組みはシニアが前向きな人生を送るための後押しとなっている。このようにシニアの行動変容を促し、寄り添えるデザイナーを育成・輩出するため、同社は独自の研修制度を作り上げた。
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