プラチナバイトの募集は、人材発掘だけでなく、宣伝効果にも期待があったと推測できる。
人材発掘面では、テーマパークは特殊な環境であり、製造業やITのように確たる人材市場があるわけではない。外部エージェントに頼るよりは、相場の2倍で募集をかけ、自社で選別するほうが早いのだろう。宣伝効果については、各社が報道したことからも、その効果は明らかだ。ちょうど盆休み前に報道してもらい、認知度向上につなげる狙いがあったとみられる。正直なところ、筆者もプラチナバイトの報道を通じて同パークを10年ぶりに再認識した。
このようなプラチナバイトは今後、他所でも募集する可能性がある。日本人と外国人で客の料金を分ける二重価格制が随所でみられるようになったが、賃金に関してはまだまだ各社内の差は小さく、能力給の考え方は定着しきっていない。日本では賃金が年功序列で決まり、アルバイト間の賃金差も小さいのが一般的だ。特にアルバイトの場合、同じ場所で数十円程度の差はあれど、数百円の差が出ることは稀である。
しかし、人手不足が加速する今後、状況や場面に応じて2倍・3倍の差をつける必要性が強まるはずだ。「Wワーク需要への対応」と同パークが主張しているように、他社で正社員として働く人材を雇う場合、アルバイトでも社員と同等の賃金を支払わないと選ばれる職場とはならない。今後、成果に応じた賃金の二重価格制は、一般的になるかもしれない。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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