パソナグループが淡路島に進出したのは、2008年にスタートした農業ベンチャー支援事業がきっかけ。淡路市にて、新規の独立就農や農業分野での起業を目指す人材育成を目的とした。
2012年には、一般消費者を対象とした商業施設「のじまスコーラ」を初めてつくった。廃校になった旧野島小学校をリノベーション。山形県鶴岡市の人気イタリアン「アル・ケッチァーノ」オーナー・シェフ、奥田政行氏のプロデュースにて、淡路島の食材を使ったレストランとカフェをオープン。農業の6次産業化を目指した。他にも、保存料や着色料を使わないベーカリー、地元野菜や土産品を販売するマルシェ、BBQテラス、ミニ動物園を併設している。
これが評判となり、「日本の夕陽百選」に選ばれる景観を生かした飲食店を、淡路島西海岸に次々とオープンしていった。他にも、ファミリー向けに「ハローキティ」をテーマにしたショーを楽しめるレストランや、日本が誇るアニメ・マンガと雄大な自然を融合させたアトラクションが売りのテーマパーク「ニジゲンノモリ」、インバウンドの観光客に人気が高い「禅」が体験可能な「禅坊靖寧(ぜんぼう せいねい)」といった多彩な施設をオープン。
こうした施策により、淡路島西海岸は、休日に明石海峡大橋がしばしば大渋滞になるほどの人気観光地となった。
注目すべき新しい施設としては、2023年4月にオープンした「淡路シェフガーデン by PASONA」が挙げられる。全国から集結した約30店の料理が、カラフルなコンテナの店舗や、海に向いたテラスで堪能できる屋外型のリゾートレストランだ。各店舗は、淡路島の新鮮な食材を使った料理を提供する。席数は約600席。
淡路シェフガーデンは、2021年4月にコロナ禍の影響を受けて営業を縮小せざるを得なかった、全国の名店のシェフを招き、淡路島東海岸にて期間限定で営業していた。2022年11月に営業を終了したが、お店を継続したいと希望する声が多く、新たに西海岸に移転して再オープンした。一部、パソナグループがプロデュースする店、ヴィーガンチョコレート専門店「VIE CHOCOLAT」、農産物販売「農援隊マルシェ」も含む。
名古屋の人気きしめん店が手掛ける「星が丘製麺所」、発酵・醸造料理として有名な伏木暢顕シェフがプロデュースするフライドチキン「10W(ジュワット)」、淡路島の鮮魚卸3代目が出店した「海鮮丼HINOMARU」、姫路駅名物「まねきのえきそば」が進出した「まねきのしまそば」など、B級グルメを中心とした魅力あるラインアップとなっている。
このように、パソナグループの淡路島事業は、東京でなくてもリモートで遂行できる管理部門などの仕事を移しているだけではない。地元産品を使った飲食店などを経営・プロデュースして観光需要を喚起する、地方創生で成果を上げていることが注目される。
パソナ「淡路島移転」はどうなった? 3人のシングルマザーが語った「仕事」「教育」「島民の気質」
パソナの淡路島移転計画はどうなっている? 家族で引っ越した社員が語ったリアルな日常Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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