AIが損益や商談に関する打ち合わせに参加して、情報の共有や施策の提案をする──そんなサービス「会議AIエージェント」の提供を10月23日、富士通が始めた。同社はAIが人と協調して自律的に高度な業務を推進する「Fujitsu Kozuchi AI Agent」を開発。会議AIエージェントは、その第1弾として提供している。
近年、生成AIの活用が幅広い業務で進んでいる。その一方、業務でAIを適用するには高度な専門知識が必要で、企業にとって多大な時間とコストがかかる課題もある。単一のAIモデルでは問題の一部しか解決できず、期待通りの結果に至らない状況だ。
これらの課題を解決するため「Fujitsu Kozuchi AI Agent」では、AIが自律的に考え、組織やプロジェクトの一員として現場業務に参加することで、適切な情報の共有や施策を提案できるようにした。その結果、人がAIから新しい知見やひらめきを得て、創造的な活動ができるという。
まず、人々の抽象的な会話から独自の処理ロジックによって本質的な課題を抽出。解決すべきタスクを生成する。次に、それらのタスクを解決するためのプランを作成。富士通の生成AIのノウハウに基づくシミュレーション生成によって、最適なAIを複数選定するという。
選定するAIには、高い日本語性能を有する企業向け大規模言語モデル「Takane」や、高度な機械学習モデルを短時間で生成する「Fujitsu Kozuchi AutoML」などを使う。さらに、選択したAIにタスクの実行を指示。各AIから得られた実行内容を基に課題解決策を考え、適切なタイミングで人々に明示し提案するという。
「会議AIエージェント」では、会議のスムーズな進行や生産的な結論の導出をサポート。会議の生産性向上に貢献する。例えば「アジア地域の売上高が昨年の半分になっているらしい」という参加者の発言があった場合、データを分析するAIを複数選択し、実行を指示するという。
その結果、AIは「昨年度および今年度の地域ごとの4月から9月時点の売上額を棒グラフで提示します。グラフを見ると分かる通り、他の地域はおおむね昨年と同等または微増となっていますが、アジア地域だけは昨年比54%と、ほぼ半減していることが読み取れます」といった的確な回答を自律的に提示する。
富士通は今後、経営会議や商品企画会議など、さまざまな業務に特化した会議AIエージェントを拡充。同社の中核事業「Fujitsu Uvance」の「Work Life Shift」をはじめとするオファリングに組み込んで提供する予定だ。
生産管理や物流、マーケティングなどの分野にもAIエージェントの活用していく。AIエージェントを多様な業務に浸透させることで、顧客のビジネスの効率化を支援する。
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