さらに「1400億円ものお金を登山鉄道にかけるのならば、ほかに今すぐにでもやるべきことはたくさんある。まず、富士山には国営のきちんとしたビジターセンターがない。登山者や観光客が最初に訪れて情報収集するビジターセンターは必須だ。また、安全確保や自然保護の見地からは上下登山道の合流地点などの整備も必要だし、レンジャーの数も足りていない。米国のヨセミテ国立公園にはレンジャーが1000人いるが、富士山周辺にはわずか3人しかいない」と渡辺氏は現状の問題点を指摘する。
以上を見れば、反対派の主張に理があるように思われるが、「登山鉄道の建設は、富士山を傷つける行為。日本人が本当にやることか」(渡辺氏)というような反対派の主張には違和感がある。
登山鉄道を建設するといっても、既存道路の上に軌道を敷設するのであれば、「富士山を傷つける行為」とまでは言えないのではないか。渡辺氏の講演は、県を糾弾するために、やや感情論に訴えすぎているように思われる場面が多々あったが、県を過度に刺激するのは逆効果だろう。
県と反対派双方の主張を見聞きして感じたのは、お互いにもう少し冷静になって現状の問題点を整理するとともに、妥協点を見いだすことが必要ということだ。また、山梨県側単独で議論を進めるのではなく、静岡県側との連携も必要であろう。11月13日には知事と反対団体の意見交換の場が設けられる。ぜひ、この場を問題解決の糸口にしてほしい。
「オーバーツーリズムは“悪化”している」 星野リゾート社長が感じた危機感
星野リゾート、北米に初進出 「100年前にピーク過ぎた場所」になぜ開業? 代表明かす
ナイキ「オワコン化」の足音 株価急落、新興シューズメーカーが影
インバウンドに沸く渋谷ドンキ 「深夜帯」は一人勝ち状態に?
“インバウン丼”と呼ばないで――1杯1万円超の海鮮丼が話題の豊洲「千客万来」、運営企業が漏らした本音Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング