「日本企業(のホワイトカラー)は労働生産性が低い」と言われて久しい。
業務効率化のための施策を取りれている職場も少なくないだろうが、あなたの職場における「カイゼン」は、本当に効果につながるものだろうか。日本企業が陥りがちな勘違いをおさえておきたい。
筆者は2024年5月下旬に書籍「ホワイトカラーの生産性はなぜ低いのか〜日本型BPR 2.0」を上梓し、おかげさまで3カ月を待たずに3刷が決まるなど、一定のご評価をいただいた。本連載では、そのエッセンスをお届けしたい。
ホワイトカラーの生産性について議論するとき、それは実際には「労働生産性」を意図していることがほとんどだろう。労働生産性とは「投入した労働力に対してどのようなリターンが得られたか」を指すもので、一般に以下のような割り算(分数)で表現される。
労働生産性 = 利益 ÷ 人数
これが何を意味するか? 「生産性を上げる」には、「同じ人数で利益を増やす」か「同じ利益で人数を減らす」か(またはその両方)しかないということだ。
つまり、労働生産性の議論をするのなら「改善する」「効率を上げる」「ムダを省く」といった曖昧(あいまい)な表現は無意味なのだ。
結果として「利益が増えたのか?」または「人数が減ったのか?」以外は意味がないのである。
だが、ここで、あなたも気づいたはずだ。トヨタ生産方式の中核をなすブルーカラー職場の「少人化」と何が違うのか? と。ブルーカラーなら人数を減らしてよいのか?
第1回でも見た通り、「トヨタ生産方式」で大野氏が少人化を唱えた理由は3つある。
この構図は、ホワイトカラーでも同じではないのか? その通りである。放っておいても売り上げと利益が伸びて、分子側が増えていた高度成長期はさておき、低成長が続く現在の日本では「少人化」しない限り、労働生産性は上がらないのである。
トヨタ生産方式は単なるカイゼン活動ではない。少人化圧力をかけ続け、実際により少ない人数で工程を回そうとし続けたからこそ、労働生産性が上がったのである。
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