さて、このように企業側にとっての利点も多いモール・ウォーキングだが、今後、日本で広く展開していく可能性はあるだろうか。結論からいうと、日本での普及にはさまざまなハードルがあるのではないかと思っている。
前述の通り、モール・ウォーキングは米国発祥の運動で、多くのショッピングモールで取り入れられている。ただ、それは営利目的というより、市民活動の一環にモール側が協力しているという側面が大きい。というのも米国では治安の問題などがあり、外を散歩することが難しい場合が多いからである。
そのため、各モールがテナントが開店するより前にモールのドアを開け、朝からモール・ウォーキングができるようにバックアップしている。例えばケンタッキー州・ルイビルにある「ジェファーソンモール」では、開店30分前からモールを開放。公式Webサイトには「月曜日から土曜日は午前10時30分、日曜日は午前11時30分にオープンします。温度調節された快適な当センターで、ぜひエクササイズをお楽しみください!」と記載がある(筆者訳)。
さらにこの背景には、米国の政府機関である「アメリカ疾病予防管理センター」がモール・ウォーキングを後押ししている背景もある。実際、同センターの公式Webサイトには「モールを散歩しよう」というページがあって、「モールには、散歩や車椅子、ベビーカーでの移動に適した特徴がたくさんある」「多くのモールには、公式のモール・ウォーキング・プログラムがある」としてモール・ウォーキングを推奨している。
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