NECは、DXブランド「BluStellar」(ブルーステラ)のキーテクノロジーである同社開発の生成AI「cotomi」(コトミ)を強化した。高速性を維持しつつ、精度の高い生成AIを12月から順次提供していく。
生成AIの性能を維持しながら、GPU(画像処理半導体)の演算効率を2倍に高める技術も開発した。AI需要の高まりに伴うGPU不足や、電力問題を改善し、AIを快適に活用できる環境を整備する。
NEC Innovation Day 2024に登壇したNEC Corporate SVP 兼 AI テクノロジーサービス事業部門長 兼 AI Research Officer 山田昭雄氏(撮影:河嶌太郎)生成AIの急速な発展により、企業や公共機関は生成AIを活用した業務変革を進めている。これに伴い、専門性の高い業務に合わせたユースケースや業務システムへの組み込み対応など、生成AIの性能向上が求められている。
生成AI市場における世界での需要額は、2023年から2030年にかけて約20倍の成長を見込む。それに合わせてGPUの需要が急増していて、課題となっているのが、データセンターにおける消費電力の増加だ。この課題を解決するため、NECはcotomiの性能強化と、使用時のGPUの演算効率を高める技術を開発。環境に配慮した活用体制を提供する。
今回cotomiが性能を強化した結果、日本語の大規模言語モデル(LLM)ベンチマーク「Japanese MT-Bench」において、ClaudeやGPT-4、Qwenなど他社のLLMに匹敵する精度を達成したという。推論速度はQwenの6倍、GPT-4の2倍を実現。速度と精度を両立させることに成功した。
生成AIを業務で使用する際に、推論処理が多くなるとGPUへの負荷や総電力消費が増える傾向がある。NECは、この「推論処理あたりの消費電力」を抑える技術を開発した。
同技術は、GPU内部の演算素子の利用効率を高め、並列処理を効率化することにより、GPUの演算効率を2倍に向上させる。従来よりも少ないGPUで推論処理を実行でき、電力消費を抑えた生成AI活用を実現するという。
これらの取り組みを通じてNECは、生成AI関連事業で2025年度末までに約500億円の売り上げを目指す。
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